シャドーイングは効果があるのか
英会話(スピーキング)の上達方法としてシャドーイングは定番中の定番です。
シャドーイングとは、聞いた英語音声をそっくりそのまま追いかけるように真似をして話していく練習のことを言います。
一般的な方法として言われているのは、0.5秒遅れで追いかけるということです。
「shadow(影)」に由来しているのですが、まさに影のように着いて行くイメージです。
単純に話す練習をするのでスピーキングの上達に効果があるわけなのですが、私はその効果以上に問題や欠点の方が多いと感じています。
1.シャドーイングは同時通訳の練習
そもそもシャドーイングは簡単ではありません。多くの場合はスピードに着いていけない、まったく真似できないということになります。
聞いたものをその場で理解してすぐに真似して話すことは、想像していただければお分かりのとおり、とても高度な技術で通訳の養成学校などで行われている学習メニューです。
しかも、通訳の学校によってシャドーイングは集中力と体力が必要となるから1日の中で20分程度しかやらないというルールがあったりもするほどです。
英語の上級者ばかりが集まるような場所でもこのような扱いのシャドーイングを、これから英語をという人がやったところでうまくできずに自信の喪失、やる気の減退につながるだけではないでしょうか。
このサイトで紹介している30日間英語脳育成プログラムという英会話教材はシャドーイングがメインの内容です。
上級者でも1日20分しかやらないものを、初心者をターゲットにした教材でやれと言われても無理だと思います。
このようにシャドーイングは効果がありますが、反面、難しさゆえに自信の喪失や英語への苦手意識へとつながる危険性も高いです。
「うまくできなくても何でもいいから真似して英語を話していけばいいのです」という意見もありますが、これもどの程度うまくできないかによると思います。
部分的にできないという程度であれば、この意見のとおり、繰り返す中で改善の余地はありま。
しかし、まったくできない状態であれば、シャドーイング自体を止めてしまった方がいいでしょう。
2.シャドーイングにはフィードバックがない
無理に続けても、時間の無駄になるだけです。
私は自分が聞き慣れた音声以外ではシャドーイングをしないようにしています。
新規のものでシャドーイングをすると、やっていてもしっくりこないし、うまくできずにイライラするからです。
シャドーイングをするのであれば、聞き慣れたものを使用することをおすすめします。
そして、同じものを何度もシャドーイングして英語を話す感覚を養うことです。
うまく行う方法として、音はイヤホンで聞いてシャドーイングを行った方がよいです。
イヤホンを使用することで、自分の声とCDの音をしっかり分けた方がやりやすくなります。
さらに余裕があればイヤホンで英語を聞いて、自分が話した英語を携帯電話の録音機能などを利用して録音してみましょう。
そうするとしっかりできているかの確認にもなりますし、自分の英語を聞くのも楽しめて一石二鳥です。
また、自分の手を上下に動かすなどしてリズムを取るようにすると、多少ではありますがスムーズに話せるようになります。
方法としては以上のことを取り入れると多少はうまくできるようになるかと思います。
このようにひと通りの説明はしましたが、それでもシャドーイングはおすすめしないというのが私の意見です。
私の意見とは逆に英語学習においてシャドーイングの効果をうたう人は多くいますが、彼らは決してシャドーイングをして英語が上達したわけではないと思います。
上達をしてシャドーイングができるようになってその効果を感じられたのだと私は思います。
残念ですが初~中級者には再現性がないのがシャドーイングです。
聞いた音を繰り返すだけですから、自分の発音への注意は散漫になります。聞いた音を繰り返すだけですからその音を覚える事もできません。しかも、英語を聞いただけで理解ができない表現をシャドーイングしても何の練習にも、トレーニングにもなりません。
音声認識は記憶にあります。音と、聞いた音の照合ですから、音を覚える必用があります。忘れないで覚えるためには反復練習が必要です。しかも、聞きながら英語を繰り返すのではなく、聞き終わった英語を繰り返す必要があります。
シャドーイングは単に聞いた音を繰り返すので、英語自体も覚える事ができません。そしてその速度も150wpm程度のネイティブにとってはごくごく当たり前のスピードに慣れるのは非常に大事な事です。
言語の音を覚える必用があるのですが、この場合に音の形、つまりパターンを把握する必要があります。すると音の速度は音に形に非常に影響を与えます。そのような音声を聞き取ろうとするならば、ネイティブが自然に話す速度の音を覚えないと聞き取りはできません。